「本屋大賞」を受賞した作品ですね。
久しぶりにいい読書をした、と思いました。
あらすじなど
簡単にいえば、ピアノの音に魅せられた高校生が
調律師を目指して、というか調律師になってさらに道を極めようとしてゆく、というストーリーです。
「羊と鋼の森」
とは、「羊」と「鋼」でできたピアノが奏でる音の世界という「森」にさまよいこみ、迷いながらも進んで行く、ということですね。
こんなふうに書いてしまうとつまらなくなってしまいますが・・・。
とにかく読んでいただきたい一冊です。
この年齢になって、しみじみ思うのは、純粋に「未知」の世界への恐れとか、憧れとかを感じられなくなっている、ということです。
なんだかどれも、だいたいこんなもの、などと分かった気になっているのでしょうね。
このようなまっすぐに何かを求める姿に、こんなに感動するとは思っていませんでした。
またこの彼だけでなく、調律師の先輩たちも、それぞれに「音」を求めています。
それは「調律師」で完結するものではなく、ピアノの弾き手によって初めて完結します。
この物語は彼が、そのような「弾き手」に出会うまでの物語でもあります。
その出会いの素晴らしさに、またそれによってさらに進む道を知った彼の未来も、心から祝福したい気持ちになります。
まだどこに行き着くかわからない道のスタート。
それは彼らだけの幸せな特権です。
どこまでも行ける。
どこまでも進める。
そういう心の高まりを、久しぶりに味わいました。
今だからこそ味わえること
60歳を超えて、だからこそ分かることもあります。
昔読んだときにはちっともいいと思わなかった小説が今読んでみると面白い。
それはちょっとした表現や言葉が、ああ、と腑に落ちることなのかもしれませんね。
と同時に、読み方そのもが違ってきていることもあるでしょう。
昔は単に「知識欲」で読んでいただけでした。
特に学生の頃はそうでした。
ようやくもっと普通に、味わって読むようになってきたのかもしれません。
そうなると読み返したいものがいろいろ出てきます。
まあ慌てずに、新しいものも読みたいので、ゆっくりいきましょうか。
目も労わらないといけませんしね。
まとめ
読書の楽しみは非常に個人的なものだと思うので、これからも好きな作家のものをゆっくり読んでいくつもりです。
あまり長くないものをね。
集中力の問題もありますが、単純に目が疲れます。
電子書籍がいいのかしら?とも思っています。
これからは本の整理もしていかないと。