八千草薫さんが亡くなられたそうです。
がん闘病中、膵臓がんだったそうで。
これまでお仕事を休まれたことがない、と聞いていたので、今回のがん闘病によるお休みから復帰できるのか心配していました。
意識は直前までハッキリしていたそうで、突然の急変だったとか。
お仕事をしてこられた方にとっては、それを休むというのは特に気力の上では、かなりダメージになると思われます。
女優さんでは森光子さんもそうでした。
舞台「放浪記」の休演後、結局は復帰されないまま亡くなられました。
つまりは、高齢の人にとっては、毎日のルーティーンが変わることが致命的だったりする、ということです。
それが、これまで自分を捧げてきた仕事であればなおさらのことです。
闘病と言い、休養と言っても、日々の暮らし方が変わってしまうと、大きなストレスとなって、身体と精神の両方にダメージを受けるのでしょう。
ですから、まだ体力はあるからと言って高齢で手術を受けるのは慎重に考える必要があります。
自分の体力を過信するのは危険です。
ただ、本人が、がん摘出によるがんの完治を希望する場合、医師は反対しないでしょうし、家族も本人の希望を優先するでしょう。
結局のところ、決めるのは本人です。
ですから、ある程度の年齢になったら、がんになった場合にはどうするのか、考えておくべきでしょう。
私の母の場合、肺への転移がみつかったのは88歳になってからでした。
乳がんからの転移でしたが、いずれも高齢のため進行が遅く、乳がんの抗がん剤治療をしました。
幸い副作用はほとんどなく、抗がん剤治療で苦しむことはありませんでした。
ただ、乳がんは次第に大きくなり、2年後には痛みもあって、在宅で痛み止めを貼付、もしくは飲用していました。
肺がんはほとんど進行していなかったようでした。
結局90歳目前で母は転倒して入院、意識が戻らず眠ったまま逝きました。
苦しみの少ない最後だったのではないか、と思っています。
入院直前まで普通に生活していましたし、認知症とは縁が無く、しっかりしていました。
できれば自分もこんなふうに最期を迎えたいものだ、と思いました。
どのように人生の終末を迎えるかは予想しがたく、ある意味「運任せ」でもあります。
脳血管の梗塞などによる麻痺や認知症、転倒などの事故による寝たきり、人生は最後まで波乱に富んでいて思うようにはならないのでしょう。
だからこそ、ある程度の年齢まで思うように生きられれば、充分だ、と思えるのではないでしょうか?
できれば、入院することなく、痛みを和らげながら、穏やかに逝きたい、と思いますが、これもまた、ずいぶん難しいことなのかもしれませんね。
八千草薫さんは強い方だったのだなあと今は思います。
手術で体調を整え、体を良くして復帰する自信があったのでしょう。
残念な結果にはなりましたが、それがあの方の生き方だったのでしょう。
美しく、強い方でした。
あのように年齢を重ねたいものです。
改めてご冥福をお祈りいたします。
令和元年 2019年10月28日