「お葬式」というのは、たびたびするものではありません。
むしろ突然そういう状況になるので、よくわからないまま、業者にお任せ、となってしまいがちです。
でも、それではいけないと思います。
自分はどんな送られ方を望むのかを考えながら、お葬式や必要な手続きについて知っておきたいと思います。
「直葬」とは
まず、そもそも通夜や葬儀・告別式をするのかどうか。
儀式なしでいい、となると、直接火葬場へ、ということになります。
これが「直葬」です。
たとえば病院で、もしくは自宅で亡くなった場合。
病院なら自宅、または、遺体を安置する場所に搬送しなければなりません。
そこで、遺体にいわゆる「死化粧」「死装束」という、お清めと、着替えですね、それをして安置します。
その後、棺に納めて火葬場へ搬送します。
火葬のあと、骨壷にお骨を収めます。
このあと、自宅でしばらくお骨を置くこともあるでしょう。そのまま納骨、ということもあるでしょう。
このように、お通夜やお葬式、告別式などがないのが「直葬」です。
しかし、この場合も、遺体の搬送や納棺はやはり業者に依頼することになります。
家族でするわけにはいかないでしょう。
手続きとしては「死亡診断書」を添えて役所に「死亡届」を提出します。
これは24時間受け付けてくれます。
これを出すと「火葬許可証」が渡されますが、24時間経過してからでないと火葬はできません。
ですから安置する場所が必要になるのです。
自宅以外ですと、そこを利用する会場費がかかりますし、遺体の保存にドライアイスも必要です。
たとえば、東京では火葬場が予約でいっぱいで場合によっては一週間も待たなければならない、という記事を読んだことがあります。
その間、安置しますと、ドライアイスも継続して必要になります。
火葬場に予約ができたら、その時間に合わせて、搬送です。
火葬の費用は火葬場によって料金が決まっています。
さらに、火葬中に待合室を使うこともあるでしょうし、ここにお坊さんを呼ぶこともあるでしょう。
また火葬炉の前に遺影や位牌、花、などを飾ることもあります。
必要な書類の代行を業者に依頼するケースも多いです。
こういう「直葬」で費用は120000円~300000円くらいになるようです。
業者によって幅がありますし、待合室の使用の有無、お坊さんの費用など、何が必要かによっても当然費用は違ってきます。
儀式なしで、といっても、棺の用意、搬送、などは、どうしても業者にしてもらうことになるでしょう。
この「直葬」を基本として、行うならどんな儀式を行うか、を考えていきます。
「家族葬」と「密葬」は違います。
「密葬」というのはのちに「告別式」などのお別れの式をする前提で、ひとまず近親者だけで葬儀をすることをいいます。
この段階では一般の人には知らせずに、葬儀を済ませ、そののち、告知してお別れの会や告別式、社葬などを行います。
「家族葬」は家族・それに準ずる身内だけでの葬儀のことをいいます。
どちらの場合も葬儀・告別式を行いますし、通常はお通夜も行うことになります。
お通夜では、接待の飲食費が必要です。
葬儀の祭壇、僧侶へのお布施、このあたりも含めて業者と相談する必要があるでしょう。
500000円以上はかかるでしょうし、上限はありません。
戒名などはインターネットで依頼すると、料金が公開でかつ一定、お寺に依頼するよりも安心できるようです。
何しろお寺によっては戒名に高額の料金がかかりますから。
まとめ
やはり基本は業者にお世話になる、ということになります。
棺の用意や、搬送はもちろんのこと、書類の手続きにしても、遺族が動き回ることは困難でしょう。
儀式を行わない「直葬」にしても、身内だけでするわけにはいきませんから、ある程度、本人の希望に添ったものを確認した上で、業者の選定はしておきたいものです。
地元の業者に相談してみて、その対応である程度の感触を得て、その上で業者を決めておくのがよさそうです。
業者次第で、のちのちの記憶、というか、気持ちが違ってきます。
業者の対応が悪くて、その後も長く不快な思いが残ってしまった、ということも少なくありません。
インターネットで業者を紹介してくれるサイトもあります。
良い業者に当たればいいですが、これは運次第ですから。
まずは、家族で話し合っておく必要がありますね。
この記事からおよそ2年後
2018年11月。
母が亡くなりました。
母の望みもあって、家族だけの見送りになりました。
父や祖父母の墓のあるお寺の住職に相談すると、最初は直送に反対で、それではお墓への納骨はお断りするしかない、と言われました。
しかし、喪主である弟の体調が悪いこと、今葬儀をしても参列が難しいことなどを説明。
その結果、35日法要の日に、寺での葬儀と49日法要を兼ねて家族だけの式を行い納骨することに決まりました。
葬儀社が病院から母の遺体を運んでくれて、納棺、死装束、祭壇、写真、花などを用意してくれました。
葬儀社で家族のみの焼香などをして火葬場へ。
お骨を骨壷に納め、遺影とともに帰宅。
葬儀社の人が、お骨と遺影を祭壇を作って置いてくれました。
ここで納骨の日まで母は過ごします。
葬儀社の費用は35万円でした。
納骨に関して、戒名、一連の儀式、卒塔婆の用意、暮石に名前を刻む、など、全ての費用が60万円。
合わせて100万円弱になります。
母が望んだものかどうか分かりませんが、家族だけで母を偲びながら見送ることができた、という意味ではこれで良かったと思っています。
あとは、ガンの転移で、抗がん剤治療の副作用に苦しんでいる弟が、元気になってくれることを祈るばかりです。
2018年、12月。記事追加。