「セルフネグレクト」というのは「自己放任」と訳されます。
もう少し詳しく言えば「自分自身への怠慢」です。
特に高齢者に多く見られ、自分を大切にしない、投げやりな態度が、最終的には孤独死につながるとか。
しかし、このような精神状態は、ちょっとした一線、それもごくかすかな一線によって境目が作られているだけで、誰もが陥りかねない状態なのではないかと思います。
そして困ったことに、こういう状態になってしまうと、手助けを拒否してさらに悪い状態になってしまうのです。
高齢者の「セルフネグレクト」の原因
認知症も原因のひとつですが、配偶者の死去や高齢者の健康状態の悪化、特に日常生活に支障が出るようになると入浴、身だしなみ、食事、ゴミの片付け、といった日常生活の最低限のことにも関心がなくなってしまう傾向があるようです。
特徴的な状態はつぎのようなものです。
◎金銭の管理ができない。
◎他者との交流を拒む。
◎認知能力の低下、意欲の低下という「うつ状態」
◎家族・親戚関係が疎遠。
◎栄養失調。
◎不潔・不衛生。
よく言われる「ゴミ屋敷」になってしまうのもこのような「自己放任」によるものが多いのでは
ないでしょうか?
対処法としては、
市町村の「地域包括支援センター」が対応してくれるそうなので、そこに相談するように勧められることが多いようです。
家族や親戚が話を聞いてあげることが一番大事です。
なぜそのような状態になったのか理解し、何か生活の張りになるものを見つけることが大切です。
「セルフネグレクト」は人ごとではない
ただ、「うつ状態」が原因でもあることを考えると、これは誰にでも起こりうる状態だと思うのです。
たとえば家族、とくに配偶者の死去。
もしくは仕事を定年退職したあとの喪失感。
日常生活のちょっとした緩み。
そのようなものが日々の習慣を失わせるのです。
当たり前だったルーティーンへの、突然の無関心。
これは短期的には心労や疲労によって引き起こされますが、そこから回復するには、自分のためというよりも誰かのため、という理由が必要です。
家族のため、仕事のため、心配してくれる友人のため、
など。
そう考えると、やはり人は人と繋がることで生きていると改めて思いますね。
誰かと繋がることで意欲がわき、行動できるようになるのです。
ですから、そういう繋がりを持つことが大切です。
どんなかすかなものでもいいのです。
その繋がりが人を人としてつなぎとめてくれるのですから。
まとめ
自分の状態が自分で分かっていれば、まだ安心です。
自らその状態を改善しようと努力できるからです。
自分の殻に閉じこもらずに、誰かとコミュニケーションを取るようにしましょう。
今、各自治体でも、近隣の高齢者を訪問して、セルフネグレクトを防ぐ取り組みを行なっています。
一人暮らしで人と話す機会が少なくなったと感じたら、自分から外に出てみましょう。
また近所の人や知人にそんな様子が見られたら、自治体や民生委員に相談してみましょう。
そんな時こそ、遠くの親戚より近くの他人。
ちょっとした気づきが、誰かを救うかもしれません。